今日は８０キロ離れたフェリー乗り場へ向かう。
　既に船の予約は済んでいた。
　俺をとめてくれた男は途中まで自転車でついてきてくれて、バニヤンという店で昼飯を食って別れた。

　さらに俺の走りは続く。
　ようやく見えたゴールへ向けてペダルを踏みつづける。
　
　１４時半ごろ、ミスターマックスというなんだろディスカウントショップだかなんだかのなかにあったマクドナルド。店なんかに入って間に合うのかどうかは判然としないが。というかフェリーの時間まで残り５時間半。距離はおよそ４５キロ。時速１０キロの俺にしてはすごい微妙だ。

　なのに１７時、俺はロイヤルホストにいた。
　小便がしたくなったが、すでにけっこうな街なかだったので立小便もできず、どこか飯屋を見つけて入ろうと思ったらロイホだったのだった。
　実はまだフェリー乗り場まで十数キロを残しており、残り時間は１時間半ほどになっていて、間に合うのかどうか。
　で、ロイホの向かいのダイエーで、船内で食うための菓子などを買った。じゃあダイエーで小便すればよかった。

　そして港に。新門司に。

　随分ぶりだなあ。２０日にも満たない旅ではあったが、ようやく見覚えのある所を見たことで、俺の中に［帰ってきた感］があふれる。
　じゅうぶんまにあった。よくやった俺。

　フェリーに乗りこむ。二輪車は５台。
　人力は俺だけ。ふむふむさすが俺、と当時は思ったが、いま思うに、旅をする本物の自転車の人のマシンは、折りたたんだりできるから、手荷物で乗りこむのだろうな。そりゃそうだ。
　行きと同じく二等和室で予約していたのだけれど、疲れていたので二等洋室というのに替えてもらった。和室より高いけれども、振動の多い床のようなところではなく、寝台だ、やわらかい。カーテンもついているので他人の目が気になる自意識過剰の俺にはちょうど良かったのだ。

出費
バニヤン（７８０）　マクドナルド（５１５）　ロイヤルホスト（１５４５）　ダイエー（３４６）　コーヒー（１００）　フェリー（７１８０）

博多−新門司港　８０キロ



２月２８日（水）最終日

　朝、フェリーは大阪南港に着岸した。そこから実家までの３０キロは、ここまで２０００キロ以上を走っていた俺にとっては、まさに蛇足以外の何物でもなかった。
　旅は昨日で終わっていた。