テレビの天気予報によると、こののち天気が崩れるというので、急いで出発することにした。（崩れるなら出発しなきゃいいとも思うが、そこはほら、俺は男だ）

　朝９時頃、公衆電話から宿をとった。
　ここ数日でウォシュレットつきのホテルアルファ−１が気に入っていたのだが、いっぱいだといわれたので、鳥取グリーンホテル・モーリスというところに、１７時にチェックインすると連絡した。
　ということで今日のリミットは１７時。鳥取までだいたい１００ｋｍくらいだったから、計算ではなんとかイケそうな感じ。

　まあなんてことのない写真ですけど。

　１０時をすぎてモスバーガーに入った。もう４０キロほど進んでいた。ペースは俺にしてはとても早い。調子いい。ライスバーガーは食べにくい。スタンプカードをもらったが鳥取・島根のモス限定だったので店を出るなりゴミと化す（でも貰っちゃう）。

　Ｒ９はどうもよくなかった。俺は自動車の気持ちもわかる男なので、たいていの場合は歩道を走るようにしているんだけど、このときの歩道は、車道との段差が大きかった。大きすぎた。タイヤは衝撃を多く受け、今後に響いた。

　だがしばらくしたら、歩道は車道から離れ側道のようになり、車道も白線の外側の路側帯がたいへん広くなってきて、俺は勿論路側帯を走り、さらにペースは上がった。

　なので、とくに書くこともなく、ただただ進みました。なんせ雨が降ると聞いておりましたからな。

　鳥取まで残り３０キロほどのところだった。
　雨が降り始め、すごい大雨になってきたので、砂浜のきわにあるよくわからないが監視小屋みたいなところの狭い軒下に逃れた。できれば監視小屋に入りたかったがカギがかかっていた。軒下では完全には雨は防げないがしかたがない。
　マルシアのラジオをきいていたら、ＴＯＫＩＯの「フラれて元気」が流れて、こっちは降られて元気ちゃうわい、と憤った。
　雨は少し小降りになってきた。でも止みそうにはない。あまりじっとしていても時間の都合もある。むりやりスタート。

　少しく進むとタイヤに違和感を覚えた。違和感というか、どうやらパンクだ。予ねて用意のパンク修理剤（スプレーみたいの）を使ってみた。どうもタイヤがふにゃふにゃするがまあ大丈夫だろうと走り出した。
　このへんは海岸沿いの道、海が間近だ。歩道には大量の砂で、走りにくい。もともと砂丘などができやすい地勢というか風土なんだな。

　ふにゃふにゃのタイヤでしばらく走ったが、白兎海岸あたりで限界になった。さすがにパンクしたタイヤのままで走りつづけるのは自転車に悪いと思ったので、自転車を下りて押すことにした。残り１０キロ強。時間は残すところ３時間。徒歩ならギリギリだ。
　小雨の中パンクした自転車をひたすら押す。
　俺はバカなのでこういうときは逆にテンションがあがってしまう。調子にのって全力疾走してみたら、タイヤが思いっきりリムから分離してしまった。専用の器具なんてもちろん持ってないので、オルファカッター１本でねじ込む。
　日曜の午後のＦＭは、木村拓哉や山下達郎やドリカムの男二人が喋っていた。どんな曲が流れても、気が滅入るだけだった。だいじょうぶくよくよすんな、みたいなドリカムの女と誰かの歌う歌が流れた。くよくよするっちゅうねん。

　Ｒ９を右折。ようやく、鳥取駅に向かう道に入った。時間はなんとか間に合いそうだ。
　自転車屋を発見。パンク修理を頼んだ。
　しかしパンク修理剤をつかったため、ゴムのナニが接着しにくいらしく、おっさんは何回もチャレンジしたが、結局つかなかった。
　あーゆーパンク修理剤を使っちゃダメだ、と説教をされたが、あの状況でパンク修理剤を持ってたら使うだろう普通。あの時使わなきゃ、いつ使うんだよ。
　おっさんはどうしようもなくダラダラと修理をする。そんなあいだにも時間は無情に進む。リミットは１７時だ。ホテルは電話すりゃなんとでもなるが、俺は金を持っていなかった。郵便局で金をおろしたかった。早くしろよおっさん。
　おっさんのゆるゆるチャレンジは結局失敗に終わり、チューブ交換をするはめになった。
　そのためにタイヤをはずしたので、ゆるかったブレーキも直った。
　怪我の功名とはこのことだな、と思ったが、おっさんがなぜかチェーンをきつく締めたので、やたらペダルが重くなり、翌日ギーギー鳴って困った。

　駅前の郵便局で金をおろしたのはリミットの数分前。たすかった。

　そして鳥取グリーンホテル・モーリスについた。金を払ってキーを受け取る。

　いつものように、自転車どこに置いたらいいですかと聞いたら、自転車を置くところはないからどこか自分で探して置いてくれ、と言われた。
　ホテルの前の、バイクを停めている所はどうなのかと聞いたら、バイクは駐車料金をとって置かせているが、自転車は規則にないので置かせられないと言うのだ。なんちゅう融通の利かなさ。鳥取グリーンホテル・モーリスを、自転車に乗る人は絶対使わないようにしよう。いや、使う時は部屋に持ち込めばいいのかな。

　仕方がないので、すでに閉店していた鳥取大丸の前の自転車置き場に置いた。ごめんね大丸。明日は開店前に出発するからなにも買えないけど。

　ホテルの部屋は普通。テレビ有料。

　次の目的地である小浜まで２７０キロほど。

＜一昼夜かければいけそうだ。新門司から出雲まではプラス５０ｋｍくらいあったんだからな。あとは天気。気をつけていく。＞
　と日記には書いている。新門司から出雲まで、夜通し走ったことにより、どれほどの苦労をしたのかということを一切失念している男の考え方だ。夜は走らない、と決めたはずなのに。

出費
ライフガード・カレーパン・チリドッグ・ライスバーガー焼肉・コーラＭ・天そば（１５４６）
　自転車チューブ交換（２８００）　鳥取グリーンホテル・モーリス（５３５６）
　週刊ポスト（２９０）　つまみになるようなもの（２５７）　テレビ（２００）

走行距離
米子市−鳥取市　　９４、５キロ