今年も佐渡島に行くと決めた俺は、いつものように夏休みの前日、仕事が終わって家を出た。いつものように忘れ物があるんじゃないかと不安になる駅までの道。
いつものように最終の新幹線で新潟に向かう予定だ。
とりあえず新宿で新幹線の指定券を買った（１０４７０）。
でもまだ早いので、新宿ルミネＥＳＴの７階だっけかな、で飯を食うというかビールを２杯ばかりのんで地図を見ながら時間をつぶして。あ、ひとりじゃないですよ。
時間が迫ったから駅に入って中央線に乗って。
東京駅に著いて、筆記具を忘れていたことに気付き（やっぱり忘れ物があるんだな）、キオスクでボールペンを買って（１００）、新幹線改札をくぐり。
ホームにあがる。喫煙場所を探す。東京駅ホームの喫煙場所はガラスで囲われた喫煙ボックスなのだった。そこはすでに満員だったのでとりあえず自販機でネスカフェ匠（１２０）を買って鞄に入れる。
喫煙ボックスにできた隙間にすべりこみ一服。
ホームですべきことはすべてした。
２１時４０分くらいの発かな、ＭＡＸとき３５３号、７号車７Ｅ（１階）が俺の席だった。２階建て車両の１階は、車窓の景色に難あるものの、まあ夜だし関係ないっちゃない。（１０４７０）
と、ここで持ち物チェックをしておきましょうか。今回は忘れ物のないよう、出発前にちゃんとワープロソフトを使ってチェックリストをつくっておいたので便利。まあいくらか書き足したけど。
・半袖しゃつ（帰りに着るため）
・長袖しゃつ（防寒用にジャージ。おもに新幹線で使う予定）
・手拭い（長めのを１本。首に巻いたり風呂で使ったり）
・靴下（かかと丈。寝袋に入るとき用）
・寝袋（とはいえモンベルのクローアップシーツだ。超薄手）
・携帯座布団（ウレタン製の小さいやつ）
・８×４（帰りの電車や飲食店で使うのさ）
・虫よけ（蚊とり線香の小巻というのを４巻）
・虫刺され（ポケムヒ）
・日焼け止め（見あたらなかったので買いました）
・シーブリーズ（ひやけあとに塗ります）
・バンテリン（じつはバンテリンではないインドメタシンのなんかでした）
・テラマイシン（傷に塗る軟膏です）
・便所紙（小さくなったロールを）
・石鹸（モンベルのオールパーパスソープという液体）
・地図（昭文社の佐渡市全域１枚もの）
・メモ帳（建築士手帳の空き頁に日記を書きます）
・ペン（東京駅のキオスクで）
・デジカメ（リコーのＲ８）
・ムービー（東芝のギガショット）
・マイティブライト（なんとなく入れてみた）
・マグライト（アウトドアといえばやっぱり。単３タイプ）
・携帯電話（W44K。使う気はまったくなかったんだけどね）
・温度計（キーチェーンにくっつけるものです）
・携帯灰皿（温度計をつけたカラビナにくっついてました）
・食料（アルファ米を３食）
・プラティパス（水タンクです）
・扇子（あんまり使いませんでした）
・音楽プレーヤ（ソニーのＥ５０７。イエロモンと吉井を１ギガ）
・帽子（スノーピークのつばひろ）
・スプーン（アルファ米に入ってました）
・袖どめ（使いませんでした）
・紙入れ（レシートやリーフレットを入れます）
・はがき（旅先から手紙を出したくなるのさ）
・酒（寝られないとき飲みます）
・たばこ（ショートホープを６箱＝６０本）
リストに入っていたのに結局持っていくのをやめたものとしては、ＩＣレコーダ（見つかりませんでした）、箸（アルファ米はスプーン付属だったので）、文庫本（暇がありゃ地図見てますし）、携帯椅子（重かった）あたりがありますね。
じつは酒も買い忘れていたことに気づく。まあ新潟に著いてからでいいや。
思ったより車内は涼しくなくて、長袖は着ずに済んだ。
そして車内はけっこう混んでいた。まあ最終だからそういうものかもしれないけれど、集団はうるさくていかんね。空手とかそのへんの師範的なひとと教え子とその親みたいな集団がちかくにいて、これぜったい師範は親とヤッとるやろ、と妄想を繰り広げておりました。
そういえば、さいきんマインチのように見ている携帯ヤフー天気から見るアメダス。
携帯電話を開き佐渡の気温をチェック。どうも熱帯夜になりそうだ。
天気予報を見ると佐渡は大丈夫のようだが新潟は雨。俺はフェリーターミナルまで行かねばならないからなあ。傘は持ってないし。
ある程度、見たところで、携帯電話をポケットから鞄に移動させた。もう見ることはあるまい。見たって行動がかわるわけでもない。
つばひろの帽子を目深にかぶってうつらうつらしていたら２３時５７分、新潟駅に到着した。
８／４（初日）
いつものように新幹線ホームから万代口方面へてくてく歩く。ここをこうして歩くのもじつは４回目くらいになる。うち３回は佐渡島へ行くためであり、もう慣れた感じのルートだ。
知らない人のために書いておくと、けっこう遠いんである。ちゃんと路面にはルートが記されているもののいっけん裏道のような道を行くんだが、ちゃんと著くので心配しないように。
でも過去３回よりも足どりは軽く、改札を通過し外に。
蒸し暑い空気と、濡れた路面。雨は降っていない。
タクシー乗り場には列が。
ま、それはそれとして、いつものようにフェリー乗り場まで行くわけです。徒歩で。
そう徒歩で。
あれ、自転車の旅じゃねえの、って思った方もいるかも知れません。自転車旅行記のサイトだと聞いて来たんだが、という方もいらっしゃるかも。
なになに、また自転車を変形させるのが面倒で、そのまま引きずっていくのかよ、って思った人もいるかも知れません。おととしのを読んだ人はそう思いましょう。
違います。違うんです。
今回は、自転車を、持ってきてないんです。
徒歩でここまで来ました。
腰バッグに、無印の紙袋で。
佐渡島でどうするかについては、いちおうレンタサイクルだろうな、と思いつつも、どうするか決めかねて、予約もせずにここまで来ています。
そんなわけで、とりあえずフェリー乗り場に向かうわけです。著いたとしてもまだ乗り場は開いてないことは知ってるくせに。
カラオケボックスなどを横目に見ながら、ううむここで朝まで過ごすってのもアリだよなあ、でも金がかかるよなあ、と立ち止まることなく。
これまで毎回入っていた、すき家には入らず。そんなに腹が減ってなかったからです。
ローソンでブラックニッカの小瓶を購入（２９９）。酒を持ってこようと思ってて忘れてたのでね。意外と忘れ物が多くて、そんな自分にがっかりだ。でも国内を旅行するに当たって、多少の忘れ物は旅のスパイスだと思ってます（だから俺は登山をしないのです。たぶん死ぬから）。
フェリー乗り場までの道は覚えているため、なにも考えずにぷらぷらと歩いていく。前回、自転車を引きずっていたことを考えると非常に楽ちんである。（基本的に歩くのが平気な人）
モスが開いてるなあ、まだ入れるのかなあと思いながらも腹が減っていないので見ただけで通過し、知っている交叉点を左折。
１０分くらいすると雨が降りはじめた。
はじめはぱらぱらという感じだったが、だんだんざあざあとなってきた。俺が濡れるのはべつに平気なんだけど、紙袋が濡れるのはあまりよろしくない。紙だし。
朱鷺メッセというまあ展示場がこのあたりにはあるため、メッセの駐車場からメッセへ向かう歩道には屋根がついてきた。これはありがたいことだなあと思ったがベンチとかないのな。だから休めない。ただただ歩く。ときおり自動車が通過する。紙袋を下げて深夜あるく俺を、ドライバーはどう思っているのだろうと思うがまあ、なんともできないので歩く。
雨が降りはじめてから２０分くらい歩きまして、ようやくフェリー乗り場に著きました。ときおり自動車が通るので、いちおう通らないときを見計らって階段をあがり、入り口に向かいます（めんどくせえ連中に目をつけられるのはめんどくせえのです）。
やっぱりまだ閉鎖中でした。予想していたことなので平気。
０時半すぎのことです。
フェリーは６時出航。出港？ まあどっちでもいい。
おそらく扉が開くのは３時半とかそのへんだ。それまで３時間。
外は土砂降り。
フェリーターミナルにはいくつか入り口はありまして、最初に閉鎖を確認した入り口とはちがい、吸殻入れのある入り口の前に移動し、そこで荷物を降ろし陣取ります。ちなみにまあ、前回と同じ場所です。いちばん人目につきにくいので。
とりあえず地上の自販機で極烏（１２０）。そういや少しは寝ようと思っていたはずなのでコーヒーを遠慮してみた。じゃ茶だってだめだろうに。
雨から風雨になってきた。俺のいるところは雨風が入ってこなくて助かった。蚊もいなくて助かった。
だけど海猫ですかね鴎ですかね、かれらの鳴き声と、荷物をナニするフォークリフトなどの動作音はずっとうるさく、まあ俺はテレビ見ながら寝られるくらいですからこの程度の喧騒のなかでも平気で寝られるはずなんですけども、なにせかっちかちの地面ですからなかなか寝つけず、ブラックニッカをひとくち。
まだ１時。
読む本も持ってきていない。今回はとにかく軽量化をしたかったからで。
暇だ。暇でしょうがない。眠れそうにもない。
寝袋を出したのかなあ、どうだっけかなあ、覚えてないなあ。携帯座布団は出した気がする。
それを腰のあたりに敷いて、紙袋にもたれて。
気づいたら２時半ですよ。
眠れず、どうにも体調もすぐれず、こんな俺が本当に佐渡島で野宿ができるんだろうかと不安になってきた。
携帯電話をとりだし、楽天トラベルなんぞで佐渡島の宿を検索してみたりする。安宿はなかなかないなあ。
ほんと初日はいつも不安だらけだ。
３時。俺いがいの乗客がやってきたようだ。階段の下で話し声がした。中年女性が数人といったところだ。どうやって来たんだろう。船は６時発だからこんな早く来てもしょうがないのに。（俺もそうだが）
まだ入り口は開かないので、聖書メルマガをＷＥＢにあげるさいにする校正作業をすることにした。そういや下書きをプリントアウトしたものを持ってきてたんだ。
にしたって、なんで夜中の３時にクリスチャンでもないのに聖書のマイナー書（だってハバクク書とかヨナ書とかですよ）をじっくり読まねばならんのだ俺。ひまだからですね。つかなんで持ってきていたのか。
そして３時４１分、俺のところの扉が開いた。中へ。
中央入り口とかは先に開いたのかな、すでに中年女性たちは待合室の椅子に横になっていた。この分割型のいすに平気で横になるとはよほどの猛者だと思った。
とりあえず自販機で紙コップ飲料。（ジョージア朝のカフェラッテ／１００）
待合室にはあらたに、畳席というのがもうけられており、４つの畳がゲームコーナーの脇に据えられていた。
すこし横になってみた。そんなにいいもんでもないな。眠くもないし。
便所で大。シャワートイレだから出なくても洗いたいんです。
待合室にあるレンタカー案内などの看板を見ながら、レンタカーもいいな、なんて考えが頭をもたげはじめた。
どーせ天気が悪いんだし、自転車だって予約してるわけじゃない。レンタカーでうろうろドライブして、宿に泊まって、翌日すこしサイクリングでもすりゃそれで十分なんじゃないの、俺もう３３だし。体力的にもすげえ不安だし。本サイト閲覧者の声を鵜呑みにするなら、おれは十分無謀な旅をしているようだし。
４時半。空は白んできた。ウミネコの声は小さくなってきた。
俺の心はすでにレンタカーで固まりつつあった。
５時になり券売機が動きだしたので、自販機で２等の切符を購入。２４４０円。
６時出港だからして、５時を過ぎるとそこそこ人が増えはじめた。
ちなみにここにいるのは徒歩などの客で、おそらく自動車の客は見えないがもっといるんだろう。けっこういるだろうな。
やっぱ指定席のほうがいいかもしれない、と思ったので窓口に行きやっぱ１等イス席にかえてもらう。１０４０円追加。
食堂が開いたので肉そばを食う。（４７０）
手打ちふうの、太さ不揃いな麺だった。それ以外とくに言うこともない味で。これならカップヌードルのほうが好き。
改札にはけっこう列ができている。やはり指定席とっといてよかった、と思った。
改札は開き、でも俺は指定席なので列が小さくなったところで改札を通過。
そして船に乗りこみ、紙袋を座席に置いて（指定席だからそんなことする必要はないんだが）、船内を散策することにした。よく考えたらそういうことしたことなかったわ。
喫煙室ができていた。まえは外で喫い放題だったと思うが。
船内に食堂があった。じゃあここで喰えばよかった。
ゲームコーナーもあった。麻雀ゲームは、ファイナルロマンス２とスーパーリアル麻雀Ｐ６だった。Ｐ６はひとりめの香山タマミちゃんがよかったよなあ、でもべつに今やんなくていいや。あとはファミコンのいろいろなソフトができる違法に近い機械があった（よくわかりませんよ）。パチスロの機械にはすでにプレーヤーがいた。佐渡にはないのか。
２等船室を外からのぞきこむ。けっこう人がいる。ほぼ埋まっていると言えよう。多くは家族連れだ。ていうか一人客はいなさそうで、やっぱ指定席とっておいてよかった。
という間にも自動車は陸続と船に乗りこみつつある。
自転車の集団が、乗船を待っているようだった。彼らは自転車を折り畳んだりしないんだろうか。折り畳めないんだろうか。そのまま積み込むと高いのになあ。
６時。いつものように、銅鑼が鳴って、船は出発します。
散策は済んだので、右端の先頭にある俺の席に坐り、シートを倒し、オットマンを出し、涼しかったので毛布をかぶり、眠りについた。
７時５０分くらいか、汗びっしょりで目覚めた。それはまあいつものことなので驚かない。
窓から島が見える。あれはもう佐渡島だ。山の上に雲が溜まっているものの、ほかの部分は青空になっていてなんだか奇妙な風景となっていた。
む、これってやっぱ自転車で行けって佐渡の神さまが俺に命令してるのか！ わっかりました！ 俺、自転車でがんばります！
数時間前まではどん底に落ち込んでいた俺のテンションはすっかり旅テンションに逆戻り、なんか泣けてきちゃいました。肉体的には優れないが精神的には立ち直れた。
ひやけどめを塗りました。
船は港に著き、列に並ぶのはめんどうなのでけっこう後ろのほうで下船し、外に出てレンタサイクル屋を探しました。
これが見つからない。俺は観光案内所の電話番号をメモしていたんですけども、場所をメモしていなかったので見つかるはずがない。かといって電話をかけて場所を問う能力は俺にはあたえられておらず、携帯電話を通話に使わずネットにつないで検索。
どうやら乗船改札と同じフロアにあったらしく、来た道をもどり観光案内所に。
先客とおぼしき若者が受付で話をしていた。トキのいるとこまでは数十分で、みたいな説明を受けていた。彼はけっきょく借りずに去っていき、俺の番。
自転車を４８時間借りたい、というと、そんなに驚きもされずにじゃあわかりました、みたいなリアクションでした。けっこうそういう人がいるんでしょうか。
ちなみにここは２時間４００円で以降１時間１００円という料金体系で、２４時間だと１５００円になりまして２４時間のほうが得だなと。（今は値段が違っておるようです。乗り捨てとかデリバリーとかできる模様）
名前や住所を書いて、計３０００円を支払い、自転車を格納してある場所に案内されました。自転車は１階にありました。
出てきた自転車は、前かご後ろ荷台つき、変速なしの、完全なるママチャリでした。
とりあえず受け付けた人は２台をひっぱりだし、「どっちにしますか（決まったほうだけ空気入れるから）」みたいな感じでしたので、どちらも同じように見えた俺は１番と書かれたものを選びました。なんでも１番というのはいちばんいいに決まってますので。
受け取りは完了し、自転車を歩道まで押して行き、前かごに紙袋を入れました。
とりあえず公園で一服して荷物の整理などしようと自転車にまたがり、ペダルを踏みました。
軽っ！ ペダル軽っ！
変速機なしの自転車なんていわば２０年ぶりくらいに乗りますがこんなに軽かったっけか、俺いつもいちばん重いギアのにして乗ってるから特にそう感じるのか。
そして死ぬほど後輪のブレーキがゆるい。俺の愛車である台湾ブロンプトンとタメはるゆるさ。これでおれは峠に行くのか。
あと、さいきんは一文字ハンドルの自転車に乗っているので、この曲線のハンドルに慣れない。ハンドルさばきがおぼつかない。ふらふらする。前かごに荷物を入れているせいもあったかも。
おれの全荷物。
ママチャリとしかいいようがない。
しかたないのでストレッチをして、９時すぎようやくスタート。
自転車にまたがっちゃったので、この話はどんどん進みますよ。
とりあえず、ルートの確認です。
初日は適当に神社を見てまわりまして。
二日目は佐和田あたりから時計回りに大佐渡沿岸をまわって、両津にもどろうと。戻れなければ宿泊です（野宿です）。
佐和田というのは佐渡島の西岸ですね。んで佐渡島の北半分をまわろうと。南半分は前回まわったんで、残り半分ということです。
まず出たのは商店街ふうの道。道の両側に並んだ店店につながり屋根がついているタイプの。朝だからか、そこそこに交通量はあり、路上停車もあるため、歩道をふらふらと進む。ふらふらと進んでいるのはハンドルに慣れていないため。
国道３５０号をおおよそ南西に進みながら、右へ左へうつろいながら走る予定です。そうそう、いま地図を見ると、商店街ふうの道も国道３５０号でした。
道はあまり良いとは言えない片側１車線。歩道もあったりなかったり。あったとしてもさほどのもんでもない。
とりあえずママチャリであり無変速なので速度が出ないため、できるだけ歩道を走ることにしました。
なにしろ出ない。おもいっきりペダルを高速回転させても、体感では時速２０ｋｍ出ているかどうか、というところです。思いっきりなんて長時間できるこっちゃないので、かるーくペダルを踏むようにしてますので、まあ１０キロそこそこだったんじゃないでしょうか。ま、ブレーキの利きもよろしくないのであまりスピードは出ないほうがよかったかも。
走り出して１０分くらいですかね、じつは、もうこのママチャリに慣れていました。この自転車に乗り始めて１０年といっても信じてもらえるくらいの自転車さばきを見せられるようになっていました。我ながら自分の順応性がおそろしい。
９時半くらいですかね、ホームセンタームサシというホームセンターを見つけたので入店。前かごに紙袋を入れておるわけですが、やっぱりハンドルをとられ気味になる。荷台にくくりつけようと、荷台用のゴム紐を買いました。（１３８）
店先で紙袋を荷台に結わえ付け、必要そうと思われるものだけ前かごに入れ、スタート。
国道とはいえこのあたりはそれほど栄えているような感じはなかったです。パチンコ屋とかはありましたけど。
栄えている国道はもっと西寄りにあったはずです。今日はそこを走る予定はないです。明日もないです。明日なければ一生ない気もしますがそれはさびしいのでなんとかしましょう。
なんとかするとはいえそれはずっと未来の話なので今はおいといて、さらに国道を南西に走ります。もう「走る」っていう言い方が失礼なくらいゆっくり進んでます。
まず行きたかった羽黒神社。これは安養寺という寺の近くにある、というぼんやりした知識で、俺の地図には安養寺は載ってるが羽黒神社は載っておらず、とりあえずここを曲がれば安養寺の筈だ、という曲がり角を右折し、ゆるやかな坂をゆるゆるとのぼっていきました。
平屋がたちならぶ集落をとおりぬければまわりはもう田んぼ。
ただただ田。
この道をまっすぐいけばいいはずなんだけども、本当に合っているんだろうか、と猛烈に不安になり、民家が居並ぶ方向へと左折。
ここ自動車通れるのか、というような狭くて急な坂をくだり、また田のあいだの坂をのぼると、安養寺地区の案内地図がありました。いろいろ見どころがあるようでしたが俺が行きたいのは羽黒神社だけなので、地図に従い羽黒神社に。
羽黒神社は能舞台とかが有名なんだそうですが、まあ俺はあまり興味がなく、ここの鳥居が見たかっただけで。
いい中山鳥居でした。いずれご紹介します。萬有鳥居研究所で調査結果を発表するのはずっと先だと思いますがとりあえずYoutubeに動画をあげます。
とここでひとまず休憩。一服。
道の先を見る。地図によるとこのまますすめば大佐渡スカイラインに入るはずだ。んでそのまま金山に至るはずだ。金山にいたるまでに俺が見たい鳥居があるはずだ。（確証は無い）
しかし、ずいぶん高くまでのぼらねばならないはずで、おそらく半日がかりになるはずで、でも飲料の残りはゼロ。
これはどう考えても無理だ。ブレーキの利きの悪い自転車の現状を鑑みても、無理だ。
俺が見たい鳥居とやらは、明日、金山のほうから行くことにしよう。
国道に戻ろう。
細くて急な坂をのぼって、そこからは道なりにゆるゆる坂をくだり国道に。来た道と違う道であります。
また神社を見つけました。また中山鳥居でした。動画を撮影。
ゆるゆる走って、また神社を見つけて（神明鳥居でした。瓦葺きの屋根に千木や鰹木が乗ってる変な社殿でした）、ようやく国道に戻りました。
おそらくはアキアカネやオニヤンマが飛び交っていました（たぶんそうだと思っただけで確証はありません）。
そういえば蝉の鳴き声も、ヒグラシ中心でした。もう佐渡は秋か。というかヒグラシは秋だっけか。
いやまあたしかに、あついんだけどつらくない。あついったってたぶん３０度は切っており、さらには湿度もずいぶん低かったんではなかろうか。
いま両津の気温を気象庁のサイトで確認してみると、最高で２７度くらいだったようです。でも相川の湿度を見ると、７０％前後なんですよねえ。うーん、からっとしてたんだけどなあ。汗のしたたることはなかったんだけどなあ。まあいいか。
まあとにかく気分はよかったんです。ようよう国道に出たときにはもう１１時ころであり、腹ペコかつ喉カラッカラだったんですけども、たのしくてしょうがない。自然に笑みがこぼれてしまう。
にしても、ヒルメシをなんとかしなきゃな。
じつは当てはないではない。
これから行こうと思っている公営温泉施設、金井温泉保養センター金北の里に、メシ食うところもあるだろうと。
地図によるとそう遠くはない。
しばらく走る。
案内板がここで曲がれと言っている。ここだな。
でも腹ぺこで風呂に入るのはちょっとしんどいかもしれないと思ったので、曲がり口にあったセーブオン金井町店に入り、アルビレックスの誰かがアイデアを出したという洋風とりそぼろおにぎりとイベリコ豚のおにぎりと、地サイダーまつりをやっていたのでミナトシトロンというサイダーを買いました。ちなみにアルビレックスはサッカーじゃなくて野球のほう。（３５１）
すぐ目の前にあった小公園のベンチに腰かけ、もしゃもしゃと食う。そういえば５時ごろに新潟でソバを食って以来だった。もう１１時半だよ。
んじゃ風呂にでも入りますか、と昼間っから入る気まんまんで、金井温泉に向かいました。
けっこうな坂をのぼります。もう汗だくでありますが、風呂に入れるんだからまったく気にならない。ここで道が合ってるのかどうか、と不安になりながらもまあ大丈夫だろうと走りに走って、到着した金井温泉保養センター金北の里。
遠目に見てもしや、という感じがあったので、自転車に乗ったまま入り口まで進みました。
「定休日」と書かれた札がね、ガラスのドアにね。
猛烈に落ち込みながらも、来た道をもどりました。下りなのでなんとか進みました。（2017年現在、閉館しておるそうです）
さきほど昼食をとった公園のベンチに戻り、タバコをくわえ。
地図をひろげ。
ということはいちおうの進行方向にあるゆとりぴあ真野、かなあ。でも定休日とかいちおうしらべておくかと携帯電話で検索。
調べるうちに、どうもすでに閉館しているような情報が入ってくる。でもＢＩＧＬＯＢＥ温泉とかああいうクチコミサイト見ると、閉館したようなことは書かれていない。
どっちだかわかんねえけどもういいや、別んとこ行こう。（今しらべても閉館したようには思えません）
というか温泉が主目的じゃねえよ俺。神社を見て回るんだよ俺。
とかなんとか思いながら、地図を見ながら東へ進路をとり（西へ向かっていたはずなのにね）、１３時には畑野温泉松泉閣に著いていました。（と至極あっさり書いてしまいましたが、狭い歩道でアップダウンもそこそこあるような道で、けっこうしんどかったです）
５００円を払って中へ。男客は俺を含めて４人とかそんな感じ。まあ１３時だし。
わさわさからだを洗う。半日ぶんの汗などを流す。
塩素の匂いのする透明な温泉。そういう泉質らしいですけど。
人がすくない昼だからか、とにかく湯が熱く、５分くらいで退散。じっさい湯船に浸かっていたのは１分くらいでしょうか。あとは足だけ浸けて窓から見える田園風景を、ええのう、と思いながら。風呂が2階にあるので眺めがいいんでありますたしか。
手拭いで体をざっと拭いて、ドライヤーで乾かして、服を着て、ロビーに出て、自販機でゲータレードを買って（１５０）、ソファにおちつく。スリッパを履いた自分の足を見てみると、足の甲をえらく日焦けさせてしまっていた。そういえば足の甲にはひやけどめを塗ってなかったんだった。これ毎年わすれちゃうんだ。さらには日ごろ履かないサンダルなのでサンダル擦れをおこしてしまっていた。まあしょうがない。
畳の部屋に移動し、寝そべって地図をひろげる。
佐渡の滞在は明日いちんちまでの予定だから、今日のうちには相川のあたりにまで進んでおきたい。あと何キロとか数えるのはめんどうだけど、佐渡の地理に明るくないみなさんのためにかみ砕いて説明すると、とりあえず今日はここから西岸へ出て、南へ進んで真野を過ぎてさらに南にある鳥居を見て、そこから来た道を戻って北へすすんでひとつ峠こえて、相川です。
しかしもう１３時。大丈夫なんだろうか。
と思いながらも、からだは動かない。なんつうか、満足しちゃってる自分がいる。まだ、佐渡について、本格的に旅が始まって４時間くらいなのに、もうおなかいっぱいな気分。今日はもうどっか泊まっちゃってもいいんじゃないですか、野宿しなくたっていいんじゃないですか、という気持ちが再燃してくる。
ま、よくわからないけどとりあえず出ればいいだろう、と１３時４８分ごろ、ようやく出ました。
まず来た道ではなく、南へ入っていく道を選びました。地図に神社が載っていたので。車もめったに通らない左右は林のゆるやかなのぼりみち。でもゆるやかだしペダルは異常に軽いため、自転車を降りることなくゼーハーいいながらものろのろと進んでしまうんです。
神社を見て、坂を下りて、来た道に。県道６５号だと思います。
６５号を中心に、地図に神社が見えるとそちらのほうに進路をとり、と寄り道につぐ寄り道で。
空は青空、夏の空で、雲は遠くにもりもりとわいているもののおれの頭上にはまったくなく、とにかく日射しはじりじりと肌をさし、喉もかわくしなんだけど、どうにも気持ちよくてしょうがない。気持ちよすぎて失禁しそうだ（とかムービーに話してました）。
大膳神社というのが見つからず、俺の地図は縮尺がたいしたことないのであまり細かいところがわからず、目印も特になく、まあいいやとあきらめてセーブオン真野町店でパインサイダー（１２０）を買ったのはもう１４時４５分。
実はそろそろエロ本でも買ってやろうという気持ちまんまんで店に向かったんだが、おれごのみのＡ５サイズエロ本はコンビニでは絶滅状態で、じゃあでっかいサイズでもいいや荷物になるけど、とか思って物色するがみなＤＶＤが付録についているような状態で、いやおれＤＶＤとか要らないから、ＤＶＤつきのやつってけっきょく本誌面がＤＶＤの目次みたいになっちゃっててヤなんだけど、と思って結局エロ本は買えず。まあ、しょうがねえ。
ということで真野町あたりにいたわけですね。
ここからまだ南へ進んで、小布勢神社に行こうと思っておるわけです。
新町のあたりでＲ３５０に入ります。
そこからおおよそ南へ、海岸線を走ります。
とくになにもない。空と海と田んぼを見ながらただただペダルを踏む。
前に逆回りをしているのでだいたいわかっている。
このあたりから、のぼりだ。
そうとうしんどいんだけど、もともとのペダルが軽いので、おもったより漕げた。踏めた。自転車を降りなかった。
だけどもやっぱりだんだんつらくなってくる。けっこう自動車は通る。道は狭い。停めるところがない。
のぼりの途中、ゴルフ場の入り口あたりで自転車を止め、休憩をする。とにかく呼吸をととのえる。からだは大丈夫だ、心肺がおさまれば大丈夫だ。
さらにペダルを踏み、前へ前へ。今日の目的地とはまったく逆の方向であり、ただ鳥居が見たいという一心で自転車を漕いでいる俺はいったいなんだ、と自問したりもしますよそりゃ。
だけどまあ、せっかくここまできたんだし、頑張ろう、と。
地図によるとこの二股を山側に行けばいいんだな、と思っていた場所が工事で通れず、さらに南へ進んだところで左に折れた。
歩道も路側帯も中央線もない狭いのぼり道が５０メートルくらい先で左に折れている。
この道でほんとうに合っているのかもわからないのに進んでいいんだろうか。自転車で行っていいんだろうか。ここに自転車を置いて歩いて行ったほうがいいんじゃないだろうか。
としばし立ちすくみ思い悩むが、下り坂の楽しさのことを考えるとやはり自転車も持っていくべきだろうと、ゆるゆると押して登った。
とちゅう、どこかで立ち小便をしたような気がする。
木々に囲まれたそんな道はすぐになくなり、やはりまわりは田んぼになった。でもゆるやかな勾配。でもペダルは軽い。
地図がひどくあいまいで、おそらくこっち方面なんだろうなという勘で進んでいく。
この地図だともうそろそろ著いてもよさそうなものなんだが、これ以上進んで何もなかったらひきかえそう、と思っていたら、なんだっけか、老人ホームのような、幼稚園のような、どっちだっけかな、どっちもだったのかな、むかしは中学校だったところがそのようなものになっている場所の向かいに、おれの目的とする小布勢神社があった。
ここの鳥居もまた立派な中山鳥居で、しかも楔が貫の下についているというレアなつくりで、そりゃもう動画を撮影です。（撮影したのは間違いないんですが、そのファイルを紛失してしまい、ありません）
撮影したのち、ちかくの石だかコンクリだかにこしかけ、なんだっけ、パインサイダーを飲んだりたばこを喫ったりしながら地図。
いまはもう１６時。目的とするワイドブルーあいかわは、今おうちでMapFanをもちい計測すると２３キロほど。時速１０ｋｍだと２時間ちょい。
１８時くらいには風呂に著けるのか。でもたしか２０時くらいまでしか開いてないはずだからなあ、急がねばならんなあ。
ここからは、来た道を北へ戻るわけですが、けっこうのぼってきたので、そこそこ位置エネルギーをためることができてるわけです。
また、のぼりもありますが通ったばっかりの道なのでどのくらいのぼるか、などはだいたい覚えておるのでこわくはない。下りだってどのようにカアヴするかわかってますので速度に躊躇はしない。まあブレーキきかないから限度はありますが。
書いてなかったですが、ずっと音楽を聴きながら走っておりまして、基本的にイエロモンがずっと流れていて、このあたりから吉井和哉のソロアルバムに入ってきてました。何枚目かのアルバム「Hummingbird in Forest of Space」（当時の最新ですが）、そのなかの収録曲「Shine and Eternity」に出てくる「緩やかな海沿いを走る車の先で僕らを待ち構える未来」という歌詞がちょうど下り坂をむかえる俺のＢＧＭとなり、どうもイエロモン関係にかんしてはおれが感情移入しすぎるきらいがあることはじゅうじゅう承知なんですけども、うわ、なにこの“俺のことを歌ってるんとちゃうの”みたいな快感で脳が満たされまくるわけであります。
じゃっかん陽はかたむきはじめ、気温もばっちり、あとはひたすらペダルを踏んでくだけであり。
ちょうどその、ただただ懸命に自転車こいでるあたりで俺の耳に入り込むのがまた吉井和哉で、同アルバムに収録の「WINNER」でして。
「C'mon 負けないでどうか 君の夜明けがくる
辛いこともあるだろうけど 長い時間の一瞬
厚い厚い壁をどうか 高い高い山をどうか 乗り越えられますように」
という冒頭に、またしても“これ俺のことや！ 俺の応援ソングや！”感が俺の脳を満たしてもう走りながら涙ぼろぼろ流しちゃうくらいに。くらいに、というかじっさい笑っちゃうくらい涙ぼろぼろ。「走れ止まらずに こらえるんだWINNER」という後半の歌詞にもぐっとくるわけです。
まあね、なんつか、前の晩に野宿をして、今日は朝からずっとオソトで自転車にただただ乗ってね、なんかね、魂が浄化されまくっていたんですよ当時の俺は。
そういえば、真野町にもどってきてのしばらくは、狭い車道にいられないので歩道を走っていました。この道は２回ほど走ったことがあるんですけども、まあいらいらする歩道で、つまりは前にも書きましたが歩道と溝が一体化しており溝のふたの上を通るとがたがたがたがたして非常に不快なのであります。しかもアップダウンが半端ねえ。
だけど、もとより遅い無段変速自転車でありますから、なんか、ぜんぜん不快じゃなかったんです。
おりしもウォークマンからは吉井和哉「人それぞれのマイウェイ」が流れており、「どんどん追い抜いてくれよ 急いでなんかいないから 俺はこの景色の色を ゆっくり感じていたいんだ」あたりの歌詞に共感しつつ。
海水浴場への矢印が出たので、これで海沿いの道を走れるぞと左折し、海沿いの道を少し走るとすぐに佐和田海水浴場。
もう１７時。
とはいえまだ明るいのは明るい。
海の中には若女が２人ばかりいるだけだが、砂浜にはまだいくらか人がいて、道路むかいの自販機でアクエリアス５００ｍｌペットを買って（１５０）、海を見ながらベンチに腰掛け、水着若女を見ながら吸殻を製造。
キャンプ場にはテントがちらほら。いいなあ。
ここまでくれば、相川はそう遠くない。遠くないったって、まだ１時間ちかくはかかるだろうけどな。峠を越えるし。
しかしなかなかからだは動こうとせず、動きだしたのはもう１７時半ごろでございます。
佐和田海水浴場をあとにして、またもちんたらペダルを踏み始めます。
海水浴場沿いにしばらく、海の真横を走る道、それからすこし海と道路の間に民家をはさんだ道。俺が３年前に朝飯を食った屋根付きベンチがあります。まだ犬はいます（そりゃそうか）。
ここで分かれ道。海沿いの道と、峠を越える最短ルート。
海沿いの道だとどう考えても間に合いそうにないので、やはりこの峠を越える道だろうと。
一度とおったことのある道なので、だいたいの心の準備はできる。今回はペダルの軽い自転車だ。ＢＧＭはおりしも山本正之「サスクハナ号の曳航II」だ。
これも長いが元気を与えてくれる名曲で、歩道なんかありゃしない、だけど車のそこそこ通るこの道で、２年前とはうってかわって、えんえん自転車から降りずにこげました。
とはいえ朝から走ってそろそろ体力も限界で、あー、もうちょっと進めばたしかトンネルがあってそれを通れば下り坂なんだよなあ、なんてわかってるのに車線変更とかするから自転車おりちゃって。車線変更は、そっちがわに歩道が発生したからしょうがないんだけど、車道をわたるためにくるまが通過するのを待つためにおりたんです。
ずりずりと自転車を押します。山を切り開いたような道ですからもとより暗い。そしてだんだんと夕暮れてくる空。でもあともうちょっとなんだ、と自分で自分を鼓舞しながらよたよたと歩を進め、ようやくトンネル。
少し休憩し、自転車にまたがり。
山中峠のトンネルをくぐるとあとは下り。今でも覚えてますが途中に信号のある丁字路というか俺から見りゃト字路があってそのさきすぐに急な右カアヴがあります。右手に神社を見ながら坂を下ると左にカアヴ。んで信号機とかがあるんです。
だからして、左車線を走っているといっきに下までいける。だけどいま俺がいるのは歩道のある右車線。
渡ったら車道を全速でおりられるんだけど、夕方だからかそこそこの交通量で、わたれず、歩道をちまちま下り（ブレーキききませんから）、信号が赤なので止まり、渡ったところでむりやり左車線に移り下り左カアヴ。信号にまた遮られます。およそ旅館街といったような風情の町並み家並み。
信号を渡るとすぐ海です。丁字路を右折しすこしゆくと、本日のほぼ最終目的地であるワイドブルーあいかわです。
自転車を停め、フロントに。６００円だっけかな。
そこで自転車に鍵をかけるのを忘れていたのでかけにもどり、必要な荷物を取り出し、さてさて風呂へ。（自分の自転車ならカギかけないですけどいちおう借り物なんでね）
温泉施設が好きなわりに、５分で出ます。まあ、昼間にも入ったし、汗を流せればそれでいい。いつものように喫煙場所で喫煙。ひやけ止めを塗り忘れた足の甲がひりひりする。
今日はここのレストランでめしを食うつもりだ。ハナからそのつもりで走ってきた。というかほかに飲食店をよく知らないし。
「あ・うん」という名の店で、同じ建物内にある。
おけさ御膳という佐渡島ならではっぽいものを注文（１５００）。ビールを飲みたい気持ちも山々だが、ビールは最後にとっておきたいのでがまん。
今年は店食オッケールールなのに、そういえば昼におにぎりを２個たべたぎりだった。あぶないあぶない。
おけさ御膳、詳しくは写真をごらんいただくといいですけど、さしみや漬け物やあげものや小鉢やご飯に汁物といったようななかなか豪勢な感じのする食べ物でしたよ。
これといった装飾のない店内には、なぜか、だっふんだの面が壁に一つかざられている。能面の感覚か。
７時ごろになろうか、まあ満足し満腹し、自販機でネスカフェ匠を買って（１２０）、いつものように明日香２で足つぼマッサージ（１００）。いつものようにかかとが痛い。
畳の休憩室に移動し、畳の上に腹ばいになって地図を広げる。
とりあえずは明日の予定だ。
明日は佐渡島の北半分を時計回りに走る。
地図で距離を測るとだいたい８０ｋｍ。時速１０ｋｍで移動するとすると８時間、朝６時にスタートするとして、１４時に両津に著く。めちゃ早いな。
携帯電話で佐渡汽船の時刻表を調べながら考える。
１５時１０分の便に乗れば１７時半新潟。１８時ころの新幹線に乗れば２２時ころには家に帰れそうだ。
次の便、１８時４０分なら新潟港に２１時、これだと東京に帰るのは厳しい。
上記はカーフェリーでの計算。ジェットフォイルならばどうか。
１８時３５分発の新潟１９時４０分というのがある。これなら間に合いそうだ。間に合うなら野宿する必要はないわけだよ。
…。
いや、自転車を借りてるんだった。あすこの窓口が１７時までだ。てことは１７時までに到着しなきゃいけないわけだ。
それでも６時スタートだと１１時間もある。
今日が９時から１８時半で７０ｋｍくらい。じゃ６時から１７時で８０ｋｍ、なら、いけるんじゃなかな。あしたは温泉に入らないし。
あーいやいや余計な期待をせんでおこう。間に合わなかったときにへこむ。
２０時半、ワイドブルーあいかわを出た。ということは営業時間は２０時までではなかったようだ。
ワイドブルーを出て、駐輪場に自転車を置きっぱなしもいかんかもしれんと、少し転がす。夜なのでライト（ダイナモ式だ）をオンにしてすこし自転車を押すが、ライトはまったく点灯しない。
前輪を浮かして、空回りさせてみる。やっぱり点かない。よく見ると、ダイナモとリムが接触してない。こりゃだめだ。ちなみにこのレンタサイクルには、手元でライトを点灯できるスイッチがついているのだが、まったく役に立たないわけだ。
仕方ないので自転車をおいたまま、マグライト片手にすこし北に歩いてみる。いい野宿場所がないものかと。
地図を見ると運動公園のようなものがあり、そこにベンチだのあずまやだのがないものかなあとふらふらと歩いていくが、みたところ見あたらない。駐車場のようなものは見えた。
んじゃー、ワイドブルーのわきにある芝生盛り土の頂上にあるあずまやにしようかな、と決めた。
ただまだ時間がはやい。防波堤にのっかって、くらい海を見たりして時間をつぶした。
外からワイドブルーを見る。ここの浴室の窓はマジックミラーのようになっており中からは全面ガラス張りのようになっているが外からは見えないようになっている。なので夜になるとブラインドのようなものをさげて外から見えないようにしている。
が、女湯の方にじゃっかんの、隙間があるように感じた。
しかし近づけるはずもなく、でもできるだけ近づいて、その隙間の方を見てみる。だけどまあ、ガラスが曇っていて中は見えない。曇ってなかったとしてもまあ見えなかったろうし、もう閉館まぎわなので人もいなかったろうね。
といいながら５分くらい試行錯誤してました。
小山のふもとに自転車を停め、いちおう鍵をかけて、あずまやに入ったのは２１時。
しばらくぼんやり。
波の音はおおきいし、すぐそばに電灯があり、じゃっかん明るすぎるといえなくもない。
寝袋（クローアップシーツ／モンベル）に靴下をはいて、入る。
予想通り蚊は多い。持参の線香に火をつけ、板張りの床に設置する。
防波堤のあたりでは、中高生あたりの若者が数人、花火をしている。ふもとに自転車を停めているので彼らに俺の存在は筒抜けであると思われ、あまりいい気がしない。
仰向けになってみてわかったが、いやじつはもっと前にわかっていたが、あずまやに屋根はなかった。藤のない藤棚のような感じだった。空が丸見え。空からおれも丸見え。
だからして、星がたくさん見え、あたりまえのように流れ星をいくつも見た。
２２時になって、公園の照明は落ちた。これでよく眠れそうだ。
